【来賓講演】たねと食とひと＠フォーラム（たねっと）事務局長　西分千秋、運営委員　高橋明子「たねといのちの多様性と持続性のための活動市民による「遺伝子組み換えでない」表示市場調査」

2024.06.15
開催報告

はじめに、たねと食とひと＠フォーラム事務局長　西分千秋さんより、遺伝子組み換え食品に関しての説明がありました。

国内で承認されている遺伝子組み換え農産物は９作物であり、大豆、トウモロコシ、パパイヤ、てん菜、綿、ばれいしょ、からしな、アルファルファ、なたねであり、この9農産物33加工食品には、遺伝子組み換え食品であることを表示することが義務付けられています。
しかしながら、これらの農産物をもとにした加工食品には表示が不要なものもたくさんあります。たとえば、トウモロコシの原材料のものには、コーン油とか飼料、異性果糖には表示義務がありません。また大豆が原材料のものには、食用油、飼料、菓子、マヨネーズなどにも表示義務がなく、姿を変えて、私たちの食卓に運ばれています。またゲノム編集に至っては表示義務がありません。

日本とEUとの遺伝子組み換え表示を比較した場合に、日本は9農産物33加工食品群対象で、外食や飼料にも表示が必要なく、EUは全食品対象で外食も飼料にも表示が必要であり、EUはプロセスベースでの規制を行っており、途中の生産段階で遺伝子組み換え技術を使っているかも追跡されるようです。

大切なことは、遺伝子組み換え原材料を使っているのか、使っていないのかがわかり、消費者が選択できる表示が必要です。すべての遺伝子組み換え（ゲノム編集を含む）食品、飼料等を対象とし、食品トレーサビリチィを義務化し、プロセスベースの規制に改正していくことを提案しています。

次に、運営委員　高橋明子さんより、市民による「遺伝子組み換えでない」表示市場調査活動について説明されました。

日本では2023年4月より、新たな遺伝子組み換え表示制度となり、従来の「遺伝子組換えでない」表示は「分別生産流通管理済」と変わり、消費者にわかりにくくなりました。これまで5％以下に混入を抑えているものが、「遺伝子組換えでない」と表示できたのものが、0％のものしか「遺伝子組換えでない」と表示できないこととなったということです。

市場調査の目的は、2023年4月の改定前後で、どのようになったのかを知り、遺伝子組み換えとその表示の現状を知り、世論を喚起するということです。

調査対象は、豆腐、醤油、コーンスナック菓子等で1001件、結果は遺伝子組み換えに関する表示があるもの　6割弱。遺伝子組み換えに関する表示がないもの　4割。

2023年4月の改定により、これまで食品表示ラベルに「遺伝子組み換えでない」と表示していた多くの食品表示から「遺伝子組み換え」や「ない」という文字が消えないか。消費者の遺伝子組み換えへの関心が薄れないか。「遺伝子組み換えでない」と表示できないのであれば、今後、コストのかかる分別流通管理をやめる事業者が出てこないか。など2024年度、2025年度も継続的に調査し、注視続けていくとのことです。

最後に西分千秋さんより、たねと食とひと＠フォーラムの趣旨と活動の紹介がありました。
「たねと食とひと」に関して、「たね」は命のもとになるものであり、多様性を象徴しています。「食」は生まれたときから、ずっと体に入れ、体を作るものです。「人」は人抜きには何も解決しません。人と人が関わり、地域の中につながりをはぐくみ、いのちが尊重される社会を目指していきたいと考えています。

遺伝子組み換えは安全性が不十分であり、その表示を行い、消費者が選択できるようになることが当たり前のことであると思いますが、それがそのようになっていない現状を踏まえて、問題提起を行い、情報提供を行っていきたいとのことでした。

私たちも認識を新たにし、出来ることから取り組んでいきたいと思います。
遺伝子組み換えに関する内容や表示について、わかりやすく解説していただきありがとうございました。

シンポジウムで紹介の「食べてたの?遺伝子組み換え食品」など3冊子をショップ、豊受モールで販売中です。

シンポジウムでもご説明いただいた昨年4月の遺伝子組換えの食品表示規制で、ほとんどの食品で「遺伝子組換えでない」表示が書けなくなり、どんどん遺伝子組換えの食品表示制度が骨抜きにされつつある問題について。
まずは皆がわかりやすい説明でしっかりと理解することが大切と10年にわたって取り組んでいるたねと人と食@フォーラム(たねっと)がわかりやすく解説した小冊子を東京と京都のショップ、豊受モールで販売しております。
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