3月15日 午前
開演前に白峰神宮に参拝
まえがき
日本の農業をテーマとしたシンポジウムも回を重ね、今年で第3回目を迎えました。第三回日本の農業と食のシンポジウム「生命(いのち)の源、自然農と自然食」を春の風薫る京都からお送りします。
~私たちの食べたものが体になり、私たちの食べたもので病気になり、
私たちの食べたものが寿命になる~
その「食とそれをつくる農業」に私たち一人一人が意識を向けて、今、食べているものをみなおす機会です。未来の子供たちのために、私たちが気づいて、変えていきましょう。
近年、遺伝子組み換え食品、東日本大震災と原発事故による影響、TPP参加など、日本の食を取り巻く問題は、ますます大きくなり、見過ごせなくなってきています。日本人の食とは。そして、私達の健康と日本の未来を支えるために必要な自然農とは。「生命(いのち)の源、自然農と自然食」をテーマに、ゲスト講演者を多数お迎えしています。今年も様々な角度から考え、行動していきます。
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大会長挨拶
国歌斉唱に続き、由井大会長よりご挨拶がありました。
「皆様、お寒い中、お集まりいただきありがとうございます。私が食の問題に取り組んだ理由の一つに、ドイツ発祥の自然療法であるホメオパシーを行っていて、西洋人とは違って日本人がなかなか治りにくいことに気づいたことがあります。これは、予防接種を多く打たれていること、戦後の罪悪感教育政策の影響で罪悪感が植え付けられていることなどにも原因がありますが、食の問題の影響も大きいです。アトピーや喘息の子供が、食を変えた途端にみるみる良くなったということを目の当たりにして、農薬や人工肥料を多く使った農作物によって健康を害しているということがわかったのです。そこで、農家の方に、無農薬・自然農で作物を作ってほしいとお願いしましたが、引き受けてくださる方はいらっしゃいませんでした。また、東日本大震災で、私が東北に赴いた時、一番必要とされた援助は、食糧、特に野菜でした。それで、私自身が農業をやろうと思ったのです。
現在、豊受自然農を作り、熱海の函南の土地で野菜を、北海道の洞爺ではハーブを作って、日本人の食と健康を支えるべく取り組んでいます。ここで育った野菜やハーブは、農薬や化学肥料を全く使っていないのにもかかわらず、よく育っています。現在、日本を復興していくためにも、自然型農業を広めることを目標にしています。そして、女性が積極的に農業に従事していこうという運動も進めています。皆さん、食べたものが自分の体になり命となります。体に余計な毒を入れないように願っています。私の患者達も、豊受自然農の野菜を食べて、症状が改善しています。ホメオパシー療法で、私は発達障害者の症状改善を主に取り組み、予防接種が原因であることを知りました。そして、予防接種を打たせないようにする活動をしてきたため、批判もたくさん受けてきました。しかし、私たちがしたいことは、誰も止められません。私の切なる願いは、野菜も人も、各々が自然に戻ることです。豊受自然農を代表して、挨拶させていただきました。」
地球回し・太鼓
大会長挨拶の後、私達が健康に生きられることを願って、会場に地球型の風船が回されました。そして、由井大会長によって、開会を告げる太鼓が高らかに鳴らされ本大会がスタートしました。
来賓講演 小名木善行氏
「古来から日本人が大切にしてきた農と食」
最初の発表は、日本の心を伝える会代表、国史研究会代表小名木善行氏です。「古来から日本人が大切にしてきた農と食」をテーマに講演されました。
小名木氏は、日本人自身が日本人の良さを知らない、誇りを持てないという現状が、非常に問題であることを伝えられました。日本人の豊かさや素晴らしさは、すでに縄文時代の生活や食からも伺い知ることができます。世界最古の石器が青森から発見されたこと。縄文時代は、クッキーなど、豊かな食文化があったこと。古代から木や森を大切にして、優れた治水・土木・木造建築技術を持っていたこと。遺跡発掘調査により、稲作が縄文時代から行われている可能性があること。火山の被害で農業ができなくなった難民のために遠洋漁業をした形跡があること…。私たちが歴史教科書で教わっていることとは、かなり異なりますが、これだけのことを知っている日本人は、現在どれだけいるでしょうか。日本人は、古来から豊かな生活と高い精神性を持つ民族。天皇や武士などの為政者も民を思いやり、民も為政者に感謝してきた歴史があります。日本人の素晴らしさを伝えることで、日本人の誇りを取り戻したい。そのような小名木氏の心からの思いが参加者に伝えられました。
事例発表 米丸輝久氏
「遺伝子組換、F1でない自家採種、固定種、在来種 自然な種にこだわった農業」
日本豊受自然農 洞爺農場 農場従事者の米丸輝久氏による発表です。洞爺農場で取り組んでいるホメオパシー自然農によるハーブと野菜栽培・自家採種について説明されました。
ハーブの自家採種は比較的容易ですが、野菜の場合、F1種ではなく、固定種から採種する必要があります。この場合、作物が実るのに数年かかる場合もあるとのことです。北海道の気候の中で、手探りで苦労しながら、手間ひまかけて、自家採種による作物の実りを結んだことがよくわかる発表でした。自家採取により、種苗・農薬業者に頼らず、安全・安心な作物を育てることは、未来型農業であり、これからの日本に必要不可欠な農業であると言えると思います。
事例発表 吉岡健生氏
「無農薬、無化学肥料、カブトムシとともに土壌を発酵させた堆肥を用いる自然農の実践」
続いて、日本豊受自然農 函南農場 農場従事者の吉岡健生氏による発表です。不耕起栽培について説明されました。
不耕起栽培では、土を耕さず、刈り取った根を残します。こうすることで、土に酸素や栄養が行き渡り、水はけもよくなるため、次に植える作物が育ちやすい土壌(団粒構造)ができるのだそうです。日本の高温多湿の酸性土壌では、土の中の微生物も重要です。微生物の働きにより、養分も得られるほか、土壌が中性になるそうです。不耕起栽培は、環境に負担をかけず、自然の力を上手に借りる素晴らしい農法です。吉岡氏自身も、自然農に従事することで、自然の素晴らしさや仲間の大切さに気づかれたそうです。このような農法、農業従事者が増えていくことが日本の農業の復興につながっていくと思います。
事例発表 吉田 誠氏
「レメディー、マザーチンクチャーを使った農業」
日本豊受自然農 函南農場 農場従事者であり、ホメオパスでもある吉田誠氏による発表です。ホメオパシー自然農による落葉堆肥の作り方について説明されました。
落葉堆肥には、牛糞や、アクティブプラントも使われています。栄養たっぷりな堆肥なので、カブトムシの幼虫がいっぱい!この幼虫たちも、土の中の有機物を分解し、土壌を豊かにしてくれる大きな助けになっています。万物は土に帰ります。土は、神聖なものであり、万物の源です。土は元々汚れているものではなく、化学肥料や農薬によって汚れてしまうのです。多様性のある健康で豊かな土壌を作るため、元々自然が持っている植物・昆虫・微生物の力を借りる。これは、自然の力で自己治癒力を触発するホメオパシー療法の考え方にも通じています。発表を通して、ホメオパシー農業の実践、可能性を認識することができました。ホメオパシーの農業への応用はホメオパシー先進国のインドからも注目されています。
事例発表 田中澄人氏
「農家がつくる安心安全な加工食品と自然化粧品」
豊受自然農で食品加工を担当しているシェフの田中澄人氏による発表です。田中氏は、保存・備蓄に優れるレトルト食品の開発に携わっています。
レトルト食品開発に取り組んだ発端は、東日本大震災で、長期・常温保存が可能で、安心・安全な食物を備蓄しておくことが重要だということに、由井大会長が気づいたことから始まりました。豊受自然農のレトルト食品は、F1種ではなく在来種で無農薬、そして食品添加物を一切使用していません。野菜本来の味と香りと食感が強いことが大きな特徴です。そして、農民達の汗と笑顔が隠し味となっています。今後は、病人や高齢者にも食を楽しんでいただくための食品開発にも取り組んでいきたいとのことです。今回のシンポジウムでは、この後の昼食休憩で、豊受無添加御膳が提供されます。お昼前の参加者たちの食欲を刺激する、画期的な発表でした。
本日の昼食
本日のご来場の方に販売された豊受無添加御膳は、田中澄人氏事例発表にあったレトルトカレーでした。無農薬・無化学肥料野菜を使用したレトルトカレーは、1年以上保存可能な保存食とは思えないほど美味しく、大変好評でした。