【第14回】日本の農業と食を考えるシンポジウム - 2022年6月18日(土)開催!➜

来賓講演「何が問題 「ゲノム編集」? ~日本の「ゲノム編集トマト」のターゲットは子ども達だった!~」

来賓講演「何が問題 「ゲノム編集」? ~日本の「ゲノム編集トマト」のターゲットは子ども達だった!~」
印鑰 智哉(世界の食の問題研究家 OKシードプロジェクト事務局長)

ゲノム編集技術は、遺伝子組み換えではないとうたわれている。
しかしその過程で外部遺伝子を挿入し、挿入した遺伝子抜き取る作業をしているだけである。

特定の遺伝子を壊すのがゲノム編集だが、ターゲットへの命中率は100%ではない。
似ている別の遺伝子を破壊する可能性も十分ある。これがオフターゲット問題。
もう一つ、オンターゲット問題として染色体破砕という問題がある。
特定の遺伝子を集中攻撃というのは自然界では起こりえない現象である。
この集中攻撃を繰り返すことで染色体が破壊または欠損してしまう。
染色体が機能しないと、子孫を作れなくなったり下手したらガンなどで死んでしまう。
また、目的の遺伝子を破壊できた場合に想定外のタンパク質が作られた例もある。
これまで1たんぱく質に対して1遺伝子と考えられてきたが、遺伝子の数約2万に対してタンパク質の種類は10万以上あり、様々な機能が有機的にタンパク質を作っていることがわかってきた。
このことからも1つの遺伝子を破壊してしまうと多くの影響を及ぼすと推測されるのである。

ゲノム編集が環境に与える影響として、
・微生物叢の構成を変える
・植物の麺英気を変える
・植物同士のコミュニケーションを変える
・交雑により広がる
・花粉の媒介者に影響を与える
・有毒あるいはアレルギーの元になる物質を形成する
・食物連鎖に影響を与える

などがあり、総じて生態系に大きな影響を与えるとドイツの科学者たちなどが警鐘を鳴らしている。

これらの事実から、ゲノム編集の安全性は大いに疑問である。
日本政府は現在、自然界でも遺伝子破壊は起こりうる。ゲノム編集はそれと同じなので安全と考えられる、として実験などの検証はおこなっていない。またアレルゲンが発生していないか確認済みというが、既知でないアレルゲンが発生する可能性は無視している。

このほかに日本政府は以下のように主張している。
・ゲノム編集は正確に安全に品種改良ができる技術?オフターゲット問題、染色体破砕の問題
・外部の遺伝子を挿入せず、既存の遺伝子を編集するだけなので遺伝子組み換えにあたらない?実際には遺伝子挿入後、抜き取る作業をしているだけ。しかも確実に抜き取れているかわからない
・自然界で起きている変異となんら区別ができず、健康に問題が起きるとは考えられない。?染色体破砕問題
・自然のものと区別できないので表示義務を課すことは不可能?つまり規制なし
・ゲノム編集技術で作った生物に関しては情報提供のお願い?義務ではない

現在世界でゲノム編集食品を販売または販売準備している4品目のうち、3品目(トマト・マダイ・トラフグ)が日本の会社である。さらにじゃがいも・小麦。大麦の栽培実験が始まっている。

しかし多くの人々はゲノム編集に否定的である。
受け入れてもらうために、家庭菜園をやる人たちに苗の無料配布をしてファンを作り、障がい者施設や学校へ苗を無償提供して、時間をかけて人々のマインドを変えていこうとしている。
これを防ぐためには、それぞれが学校や自治体へゲノム編集を拒否する意思表示をすることが必要。

また世界各国では非遺伝子組み換えを推奨するNON-GMOプロジェクトが市民団体により行われている。これにはゲノム編集も含まれている。日本にはないが、根拠があれば表示可能である。
そこで、種に表示する。そうすればその先にある収穫物、加工品にも表示ができるようになる。
OKシードプロジェクトとして全国の各生協などに呼びかけを行っており、100を超える団体・個人が加入している。

全体の3.5%の人たちが動き出すとシステムが変わっていく。日本なら440万人。頑張れば届く数字。日本の4割くらいはゲノム編集食べたくない。この人たちが行動するだけ。

ゲノム編集についてのわかりやすい解説と、未来への希望をお話しいただきました。

 
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