2022年6月吉日
第14回日本の農業と食を考えるシンポジウム
「食料危機を乗り越える鍵は“豊受式”自然農にあり」開催御礼
シンポジウムが大成功に終わりまして、皆様には大変感謝しております。今回のオープニングセレモニーは、急遽、伊豆の国市韮山金谷(にらやまかなや)地区からの「エキネシア花摘み・収穫祭」を生中継することになりました。金谷地区は伊豆の国市の紹介もあり2年半から耕作放棄地(水田)の整備に取り組んできた地域ですが、農業部スタッフの開墾、整備により多くが見事な水田となり、水はけの悪く水田に向かない農地もアメリカ・インディアンのハーブ、エキネシア畑として蘇っただけでなく、天然記念物のモリアオガエルやカブトエビなどの生き物たちの生物多様性も水田や畑に戻ってきました。セレモニーでは、伊豆の国市の山下市長、農業委員会などの関係者、静岡県の東部農林事務所、韮山金谷地区の区長さんはじめ地域住民の皆さんなど多くの来賓を迎えて、地域のTV、新聞、ラジオなどの取材もあって賑やかな式典となりました。このように地域住民、地方自治体、民間の農業法人が力を合わせて、全国で急増し大問題となっている耕作放棄地を自然農で蘇らせ、地域の農業の底上げにつなげる事例を今回は伊豆の国市から全国に発信できたのではと思います。このような農業起こしの活動が、多くの民間企業や農家が都道府県や自治体を巻き込んで全国各地での農業復興、自然型農業や六次産業化の推進のモデルケースとなり、日本の農業復興の大きな流れにつながっていくことを心から願っております。
さらに、大会テーマの「食料危機を乗り越える鍵は“豊受式”自然農にあり」にも含まれますが、コロナ禍、ウクライナ戦争などでこの秋にも懸念される食料危機、さらに農業、経済、エネルギー、健康などの世界規模の危機にいかに備えるか、その解決策を模索、提案する上でもとても大事なシンポジウムとなりました。主な内容を紹介します。
●基調講演の中で私は、我々の記憶から忘れてしまっている過去の大飢饉の歴史を振り返った後、今回の食料危機が人為・計画的に引き起こされているのではという仮説を立て検証し、今後予想される世界的な食料危機へ必要な備えとして、種、土、水、空気、太陽に加えて”豊受式“自然農のノウハウさえあれば生き残れる。種は自家採種すれば1年で100倍、千倍、1万倍の種苗と食料になる潜在力を持つ。種と土を持つことで国際金融経済の輪っかをはずれ、地域で自給可能な体制へ近づくことが出来、様々な危機への解決策となる可能性について具体例をあげ説明させていただきました。
例をあげると
・長期保存が可能で種籾として農業にも使える籾米備蓄など穀類の種籾での備蓄の提唱
・電気や冷蔵庫がなくても長期保存可能な塩漬け、味噌漬け、水漬け、酢漬け、油漬け
など様々な長期保存法、備蓄の知恵の紹介
・江戸時代の伝統的日本食に学ぶ、麦飯、雑穀米などの効用や発酵食の魅力
・地域で自給できる資材(竹材、木材など)を利用した化学肥料に代わる発酵堆肥作り
・農薬化学肥料で失われた土の土壌菌環境を自然な状態に戻す豊受御古菌
・農作物の日照不足被害をリカバーできるアステカLEDライトの活用
・植物の根と土の土壌菌から放出される電気を利用したボタニカルライト(植物発電)
・お金の価値が激変する経済危機を生き抜くための大切な知恵や心構え
など発表させていただきました。そして皆さん一人ひとりの発表も各々が自給自足に備えた行動を起こしており素晴らしかったです。
●豊受農場のスタッフもリレー発表
・自家採種、主要穀類増産、耕作放棄地対策、備蓄可能な加工食品の開発など取り組み事例をシェアしました。
●無肥料農業を推進する岡本よりたかさん来賓講演
「お金に頼らない自給農という生き方」をテーマに、自らが無肥料農業に取り組んだいきさつと、これまでの経験から、われがわれどういった生き方を取り戻すべきなのか、食料、経済危機を乗り越えるライフスタイルへの様々なヒントを与えてくれました。
●世界の食問題研究家 印鑰智哉さん来賓講演
「食料危機と工業型農業からどう抜け出すか? 世界の実践から」をテーマに市民が目指す方向性を示し、OKシードマークなど自主表示制度の大切さにも言及されました。
●日本のフラワーエッセンスの研究家東昭史さんの講演
食料危機の時代に心を癒してくれる花のエネルギーについて講演いただきました。
●「今から種を採り”豊受式“自然農をみんなで始めよう!」 私の呼びかけに応じ何人もの会員や教え子が自然農に取り組み始めましたが何人かに事例発表いただきました。
・京都府木津川「やればできる農園」の橋本晴美さん、松岡恵子さんの姉妹の実践発表
・東北でにんにくなどの栽培に取り組む橋本孝子さんの実践発表
・東京から山梨八ヶ岳山麓に移住し新規就農した井手麻子さんの実践発表
(上記以外も、会員から送られてくる自然農レポートを特設サイトで順次公開中)
・子どもたちの健康を守る活動を始めたTHINK鎌倉の関守桂子さんの発表。
・オーガニックミネラル給食の普及を世田谷で目指す鈴木ともこさんの発表 etc.
このように今大会は大変充実した発表内容の大会となっただけでなく、参加、視聴者アンケートを読みましても多くの方が、食料危機対策の第一歩を踏み出す大事な大会になったのではないかと感じています。アフターイベントも7月6日(水)(アーカイブ配信7月12日(火)迄)で千葉県佐倉市にて数十年自家採種での農業を営む林重孝さん(日本有機農業研究会 種苗部長)に、種のとり方、保存、交雑防止含め「種から育てよう -オーガニックの野菜のタネの採り方、育て方-」講座をお願いしています。
さらにこの歩みが食料自給、日本の農業の復興など、命を慈しみ未来を救う大きな流れにつながっていくことを心から願っております。
第14回 日本の農業と食を考えるシンポジウム
主催者 日本豊受自然農代表 由井寅子