東日本大震災という未曾有の災害からの復興を願い、由井大会長が毎年、自然型農業と安全な食などをテーマに日本豊受自然農主催で毎年開催してきた「日本の農業と食を考えるシンポジウム」。新型コロナ対応や種苗法改正など緊急の課題が相次ぎ、昨年6月第9回大会以降はCHhom東京校をライブ会場とするオンライン配信イベントとして、数ヶ月おきの開催に変更となり今回12回目の開催となりました。

今大会に対しては、6月4日に大会長より、「日本の窮地を救ってきた農業の大切さを見直そう!」https://toyouke.com/blog/16561.html というタイトルでメッセージが公開されました。加えて、今回は、由井大会長による新型コロナワクチン問題への緊急会見も急遽行われることになり、「日本の農業、食、コロナを考えるシンポジウム」の大会名で開催され、参加者も会場参加、オンライン視聴合わせ800名以上、さらに内容に対しても大変大きな反響がある大会となりました。
▼参加者の感想(午前の部)
▼参加者の感想(午後の部)

プログラムとしては由井大会長が今、存続の脅威すら危惧されている日本文化のベースでもあるコメづくり農業の大切さ、オーガニックなお米の健康食としての優秀さに加え、明治維新以来、150年にわたって行われてきた「日本の農業潰し」を配布資料の年表とともに時系列で振り返ることで日本の農業と食の問題を俯瞰的に総括し、江戸時代に行われていたような農業や食にヒントを自然に戻していくことに解決策があること、さらに、日本の農業と食が栄え健康で幸せな未来へしていくための解決策を大会長からの提案もなされ、今回の基調講演も参加者を大きく触発するものとなりました。

基調講演に引き続き、ライブ会場のメンバーを中心に、豊受畑シェフの横田美沙さんによる豊受ぬか床つくりの実習が行われました。今回焦点となっているコメを原材料につくられる日本伝統の健康保存食づくり知恵米ぬかづくりもライブ参加の皆さんは楽しんでおられ、今、ゲノム編集トマト苗の配布が問題となっていますが、ちょうど函南農場のミニトマトの出荷が始まったことが横田シェフから紹介があり、大会長が機転を利かせ、東京と大阪会場の皆さんには自然栽培・在来種で洞爺、函南農場で10年にわたり自家採種で固定されたミニトマトを実際に参加者の皆さんに味わっていただきました。

昼食休憩前には、基調講演では、食こそが、中国最古の薬物書『神農本草書』でも無毒で生命を養う養生薬であり最高のお薬(上品)と紹介がありましたが、薬膳、精進をコンセプトに当日昼、ライブ会場の豊受オーガニクスレストランでは提供されましたが、料理長から当日の「豊受精進御膳」のメニュー説明も行われました。

また、今回3人の来賓講演も注目されていましたが、どの講演も参加者の皆さんが大きく触発される内容となりました。

前回に続き講演いただいた鈴木宣弘氏(東大農学部教授)は「新たに露呈した農業破壊の構造とそれに負けない持続的農業の展望」をテーマにRCEPの本質、営農型太陽光発電の本質、無理しない農業は生産性も高いことの実証などを発表しました。

小谷宗司氏(前信州大学農学部特認教授)は「日本の伝統薬にも使われる薬用植物の国内栽培での地域農業への可能性について」講演し、函南農場で始まった薬用植物センブリの小谷氏による栽培指導の報告もあり、9月7日には小谷氏の地元で薬用植物の宝庫である木曽、王滝村での自然観察会をCHhomと共同で開催することの報告もありました。

食の問題研究家の印鑰智哉氏(office INYAKU代表)は「生態系の危機と食の未来」をテーマについて発表、大会長とのトークとなったパネルディスカッションでは、今後日本の農業と食、子供たちの健康を守るために私たちに何ができるのかについても様々な提案をいただきました。

ドキュメンタリー映画「遺伝子組み換えルーレット」の監督としても知られるアメリカのIRT(責任ある技術の研究所)代表ジェフリー・M.・スミス氏からは、今回、日本豊受自然農が日本語版をネット公開するドキュメンタリー映画「実験室のビーカーから遺伝子を放出してはならない」日本語版の完成記念上映が今回行われましたが、日本語版完成へのメッセージとともに、不自然に遺伝子を操作したゲノム編集トマト苗を日本企業が開発し、これを自然環境に放出することを黙認する日本政府の対応をGMO問題に取り組むアメリカの研究者の立場から厳しく批判しました。なおジェフリー監督のメッセージとこの短編映画の日本語は7月初めにはYouTube公開予定と発表されました。

会員発表としては、JPHMA認定ホメオパス、鍼灸師という治療家として活躍する中で、自然型農業や菓子製造販売を始められた橋本孝子(豊受会員)が「農民ホメオパスとして思うこと」をテーマに発表、農業をホメオパシーと鍼灸の自然療法家との両立して始められての感想、 カボチャやニンニク栽培。東京会場ショップでは、豊受小麦を原材料に橋本氏が製造した胡桃や胡麻いりの台湾「月餅」も記念に販売されました。

農業イベントとして恒例になった豊受自然農の農場からのリレー発表では、「トウキ、センブリ、エキネシア、藍など函南農場での薬用植物栽培への挑戦」をテーマに、函南農場農業部 ハーブ・野菜班で金光直人、影島紗希、宮沢涼太、田中優子、数原賢明がリレー報告、続いて、「日本の在来種の米づくりを守ろう! カブトエビが戻ってきた豊受米栽培圃場からの報告」を函南農場 農業部コメ班 富山敬久、川原拓朗が行いました。最後は洞爺農場から、種苗・農業担当 米丸輝久からは、ゲノム編集トマト苗の配布が始まったことへのトマト栽培の農家の立場からの懸念とともに、洞爺農場での在来種自家採種の取り組みの発表のあと、カモミール畑からは人気のバイタルハーブティーに続き今夏にも販売が予定されている洞爺セレクションのスピリット・ハーブティーについて澤田美史が報告し、今回も盛りだくさんの内容となりました。東京会場ショップでは恒例の豊受函南農場スタッフによる獲れたて野菜の即売と自家採種したタネの販売も行われました。

 また、豊受オーガニクスの渡邊公代店長は午前と午後に豊受オーガニクスの提供する商品について紹介、大会長からも、これから豊受オーガニクスをオーガニックでナチュラル、安心安全な生活必需品全体を扱う豊受スーパーマーケットにしていく構想も発表されましたが、今、政府が行うとしています食品表示から、遺伝子組み換え不使用、ゲノム編集技術不使用、添加物など無添加という表示をできなくしようとしていますが、日本豊受自然農では、豊受御古菌活用での多くの微生物の種類の微生物を使った土作り、在来種の自然なタネしか使わず、農薬・化学肥料一切不使用、また遺伝子組み換えや抗生物質入りのエサや成長ホルモン剤を使って育てられた水産・畜産物も扱わないし、その畜産物由来の有機肥料も農業には使わない点、食品・化粧品としても合成化学材料など無添加など点など豊受自然農の商品開発と商品提供の原則が紹介されました。

 お昼休み時間には、今月、『ああ野麦峠』など日本映画の数々の名作を制作した山本薩夫監督のつくった日本映画復興賞奨励賞を受賞した山田正彦元農相の初監督作品となったドキュメンタリー映画『タネは誰のもの』の予告編が上映されました。種子法廃止、種苗法改正などタネの問題をテーマに扱い豊受の函南農場の野菜の自家採種のシーンから始まる映画でナレーションを江原誠さんがつとめる話題作で、DVDも発売され、豊受オーガニクスショップでも販売していること、日本豊受グループでも自主上映会活動を応援していることが紹介され開催希望者は連絡してくださいと司会から。さらに海外では3週間トップニュースで報道されたグリホサート健康被害裁判でのモンサントの歴史的敗訴が日本では全く報道されなかったことから山田正彦元農相が映画『タネは誰のもの』とともに制作しこの度、完成し7月2日からの東京を皮切りに全国20都市以上の映画館でロードーショーが行われる映画『食の安全を守る』の予告編も上映され、司会から、日本豊受自然農などグループ3社がクラウドファンディングでこの映画制作を応援していることを紹介、全国劇場共通の映画割引券を豊受のショップでも扱っていることが紹介され、映画館に足を運ぶことでこの映画の上映が増やし、日本の食の安全を応援しようと提案がありました。

 また、6月末一次集約の「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の「ゲノム編集高GABAトマト苗の配布中止を求める署名」
https://www.gmo-iranai.org/?p=3207
同じく6月末一次集約の「種苗への遺伝子操作の表示を求める署名運動」
https://www.gmo-iranai.org/?p=3449
についての協力呼びかけ(どちらもオンライン署名あり)が司会から行われました。

締めくくりのパネルディスカッションでは、由井大会長が「種を守ることが食を守ることのになる、そして、皆さんにぜひ家族農業をやってもらいたい」と提案、その後印鑰氏との日本の農業と食をよくするための真剣なトークが展開されました。政治がおかしくなってしまっている今、東大の鈴木宣弘教授のような国民や農業を思う人が、総理大臣となり、印鑰氏のような方がその補佐役になればこの国も変われるかもなど、志ある方が政治家に立候補してほしいし、有権者としてそういう候補者に皆が投票して政治を変えていくような運動も必要なことなど大会長が発言しました。

また、新型コロナについては、これからもワクチンの健康被害などへの対応が益々重要になることから、サポートなどの症例を募集すること。10月9日、10日開催予定のJPHMAコングレスでも症例や統計の発表を行う予定であることが発表されました。また食への感謝を持つことの大切さの紹介として、比叡山をはじめ広く食前食後の感謝の行として行われている斎食儀(さいじきぎ)が配布資料として配られ、食に感謝する心を取り戻すため、大会長自ら、また豊受グループも実践していることが紹介され、参加者の皆様にも食への感謝に取り組みを提案しました。

最後に、18年間、自然農に取り組んできた苦労と喜びを語り、最後に参加者の皆さんにこう呼びかけました「自然農をやってよかった。なぜなら、みなさんの健康の大本はまず「食べ物」だからです。まず、食べ物があって、次に病気を治すホメオパシーがあるのです。自然な農業が先ですね。そして、いつかヨーロッパのように日本でも自然農が主流となる時が来ると思います。皆さんの意識がかわっていっていますので、これから希望があります!」とシンポジウムを締めくくりました。

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