日本の農業と環境シンポジウム発起人代表
由井寅子(日本豊受自然農株式会社代表)
今回のシンポジウムは農業だけをテーマとするのではない。これは「沈黙の春」と言ってもよい。自然は人間によって崩壊の一途をたどっている。その原因は放射能ならびに農薬や化学肥料、果てはジャガイモの収穫時に撒かれるという枯葉剤なども存在する。
今の農業のやり方ではとてもではないが、健やかに暮らせる国にはならない。皆さんがまだ大丈夫と安心していられる状況ではなくなってしまった。地球は私たちに声なき声で警告を発信している。この地球に住む私たちが権利と利益の縛りを乗り越えて行かねば将来はない。ほんとうに気づいたときには鳥がいない。気づいたときにはあめんぼうがいない。気づいたときにはおたまじゃくしがいない。気づいたときには魚もいない。このような状況になる前に手を打たなくてはならない。環境破壊はまさに急務の課題。それには、日本の農業を自然農に戻さなければならない。
今回のシンポジウムでは、人間はどのような生き方をするべきか、農業・環境に対して個人ではどのようなことができるのか、各識者からお伝えしたいと思う。これは非常に重要な問題提起であり、皆さんがこのような問題を積極的に意識することで生き方は確実に変わり、エコロジーになっていくと思う。その行動を起こすのは皆さんである。多くの方がこのようなことに目覚めて、物を大切にして生きる、環境を汚さないように生きる、これは、今、国民一人ひとりに求められていることだと思う。
もちろん、当事者である農業従事者の考えが変わらないとこのようなことはできない。私たちがこのようなことを進める上では、もちろんさまざまな軋轢がある。私は農薬を撒き環境を破壊する農家の人々を責めているのではない。農薬がなくても化学肥料がなくても土壌が生きていれば作物は作れるのだということを知ってもらいたいと思っている。
また、農家が環境を台なしにしても利益がほしいとお金に走らないよう、国を挙げて日本の農家をヨーロッパのように保護すべきである。そして環境を破壊しない自然型農業でも農家が食べていけるように野菜の価格を上げていくべきである。だからこそ安くて質の悪い野菜が出回るようなTPPに参加すべきでない。理想はだれもが自分の食べる野菜を自分で作りお互いに交換することでお金もいらず一番自然ではないかと思っている。そうなれるように種から作物が作れる技術を教えていきたい。土と種があれば、どんな時でも生き抜いていける。
私は十七年間、予防接種について問題提起し、突っ走ってきた。そのためか今では多くの人が気づき始めている。予防接種の問題はとてもデリケートであり、これまでもいろいろな軋轢があったが、ひるまず続けてきたことは本当によかったと思っている。
今度は農業と放射能を含めた環境問題をやらねばならない。私たちの子ども、子どもの子どもが、美しい自然の日本という国に住めるよう、次の世代に渡していかなければならない。そのためには、一人でも多くの方に、この「日本の農業と環境の問題」を聞いてもらい、真剣に考える機会にしていただきたいと思う。
日本の農業の復興は環境の復興であり、ひいては日本国の復興である。
2012年3月吉日
日本の農業と環境シンポジウム 発起人代表
農業生産法人 日本豊受自然農代表
由井寅子
日本人の「健康」、「生活」は、今、様々な面から大変大きな危機に直面しており、この厳しい状況から日本を復興していくためには、まず、「食」その源流にある、本来あるべき姿の「自然な農業」の復興と、放射能汚染・化学物質汚染を克服し、脱原発というエネルギー供給課題を克服するための「環境技術」の展開という解決策の提示こそが急務の課題であると考えます。
特に、東日本大震災・福島原発放射能漏れ事故によって、福島を中心に、日本の田畑、牧草地、そして海洋までが深刻な放射能汚染を受けました。また従来から、大量な農薬、化学肥料・薬剤を使った現代日本の農業・畜産業は、土壌、水質などに深刻な環境汚染を引き起こし、そこから収穫された化学物質にまみれた不自然な食は、様々な「食源病」の発生につながっています。
加えて、TPP加盟交渉スタートにより、安全性に重大な疑問のある遺伝子組換食品の日本市場への本格流入が懸念されています。すでに日本の種の80%はF1とよばれ、次の年には役に立たない種となるように改良されたものを使っています。今日、日本の食糧自給率は低下をし続け既に3割を切り、エネルギー自給率を考慮にいれると、わずか数%しか自国で供給できないという危機的な状況であります。
これを打開するためには、衆知を集め、今こそ、農薬や化学肥料に頼らない日本の自然な農業の復興と、様々な環境技術による、放射能や化学物質(毒物)の土地、水、そして人体からの浄化・除染の確立ではないかと考えます。
たとえば、自然な農業の復旧では、農薬や化学肥料を使わなくても立派に作物が収穫できる豊受自然農のやり方など自然のノウハウの普及であり、土壌や人体などの化学物質や放射能汚染に対しては 「発酵技術」「植物の力」「自己治癒力を活性化させる自然療法」などを使った解決策があります。そしてエネルギー問題について自然エネルギーをはじめ複数の解決策があるはずです。
今、日本の衆知を集めて、「農業」と「環境」の視点から解決策を実践していくことが急務であります。これらのテーマに関心ある方は、京都リサーチパークから各地のサテライト会場にも中継をいたしますので、ぜひシンポジウムにご出席いただきたく、また、会場に参加できない方も応援メッセージを頂きたく、そして具体的な解決策やアイデアをお持ちの方には、今回のシンポジウムに向けてご提案を頂きたく、みんなの力で、農業と環境から、日本の復興をし、自然型に変えていきたいと思います。是非とも、ご理解、ご協力をお願いいたします。
2012年2月吉日
日本の農業と環境シンポジウム 発起人代表
農業生産法人 日本豊受自然農代表
由井寅子