由井寅子大会長より、シンポジウム開催に向けたメッセージを頂きました
第7回日本の農業と食のシンポジウム開催に寄せて
――人が生きるために何が必要か――
人が生きるために必要なものは、衣食住です。その衣食住が不安定だと心が不安定になります。死に怯えながら生きるのは苦しいですね。ですから人が幸せに生きるためには、安定した衣食住が不可欠です。外敵や環境の厳しさから守ってくれる安定した「衣」「住」と、飢えから守ってくれる安定した「食」があってはじめて安心して快適な暮らしができます。
しかし、その「住」=「家庭」に暖かさや安らぎがなかったらどうでしょう。やはり心が不安定になり、苦しいですね。ですから、人が幸せに生きるためには、暖かい家庭、安らげる家庭が不可欠です。家庭の暖かさは「食」に現れます。毎日作るものだからです。家庭の暖かさ、安らぎを生み出す中心は女性です。女性が作った愛ある食事を通して暖かさと安らぎと応援を受け取り、体と心と魂が養われ、生きていくことができます。食は物質的なものを食べているだけではなく、作り手の心(感謝)と魂(愛)を食べているのだということです。感謝と愛は、母性から生まれるものです。母性は魂の清らかさと利他心から生まれます。ですから男性も母性があるのですね。このように食はとても大事ですが、その食を生み出す大元の野菜や穀物が暖かさと安らぎのない大地と種から生じるならば、体にとって栄養のないものとなってしまいます。
大地は母、種は父、人や生き物にとって最も大切な食べ物は、けがれなき大地と種から生じたものであるべきです。それゆえ、私たちは種をとり、農薬や化学肥料を使わず、土に落ち葉たい肥を漉き込むのです。自家採種に感謝しクヌギの葉に感謝し、土に感謝し、野菜と土に愛を注ぎ、毎日同じことをコツコツと繰り返し、百姓を行っています。私たちは心して大地や種を自然型で守り、それらが私たちに提供してくれるものを感謝して受け取って行きます。
毎春の「日本の農業と食のシンポジウム」は今年で7回目を迎えました。
今回は、日本の種子(たね)を守る会顧問の山田正彦元農相、世界の食と農の問題をフリーの立場で研究する印鑰智哉さん、古来から様々な難局を乗り越えてきた日本の知恵を現代に浮き上がらせる国史研究家の小名木善行さん、日本における食の安全についての消費者運動を立ち上げてこられた「食政策センター ビジョン21」主宰人の安田節子さんなど、この分野で様々な実践と解決策をお持ちの皆さまにも参加いただきます。これまで日本豊受自然農や自然療法の実践の中からつちかった解決策を私も提案したいと思います。そして、これらの問題に関心を持っている皆様と一緒にシンポジウム当日は衆知を集めて、どのような解決策があり実現していけるのかを考えていきたいと思います。日本の自然な食と自然な農業、自然な心を取り戻し推進するためにどのようなことが行われるべきかを提案したいと思います。人々が安心して生きられるように心から願って、5月12日(土)、13日(日)は是非京都にお集まりください。
第7回日本の農業と食のシンポジウム 大会長
日本豊受自然農株式会社 代表
由井寅子