映画『種子 - みんなのもの?それとも企業の所有物?』
日本では2018年4月に種子法が廃止。
ラテンアメリカでの種子の保存を禁止する「モンサント法案」との闘いを描いた映画『種子―みんなのもの?それとも企業の所有物?』をご覧いただき、日本で種子を守ることの意味をお考えください。
食の源である種子。
農業も豊かな食文化も、すべては1粒の種子から始まりました。しかし「緑の革命」以降、工業化された大規模農業が推進される中で、種子は知的所有権の対象となり、グローバル大企業による支配が進められてきました。
2010年以降、ラテンアメリカでは農民による種子の保存を禁じ、毎回企業から種子を買わなければならなくする通称「モンサント法案」が多くの国をかけめぐります。農民を先頭に、先住民族、女性、市民、さまざまな人たちが声をあげ、大規模な反対運動が起こりました。本作品はこれら人びとの種子を守り、地域の経済や文化、食料主権を守る闘いを描いたドキュメンタリー作品です。
また、種子(たね)の問題は、日本の農業の未来や国民の健康や幸せにとって大変重要なテーマであるため、この映画が取り扱うテーマは非常に重要なものであるため、日本豊受自然農では初めて、今回の日本語制作に企業協賛をしました。
日本でも種子に関して、大きな変化が起こっています。2017年4月、これまでの日本のコメや大豆、麦の種子を守ってきた主要農作物種子法の廃止が、国会での審議も不十分のまま決定されてしまいました。民間企業に市場が開放され、私たちの食が今まで以上に多国籍企業に支配されてしまう危険もあります。その意味でも、本作品が投げかける問いは、日本の私たちにも無関係ではありません。
本作品を通じて、私たちの種子、農業、食、社会のあり方を考え、世界の運動と連携しながら「フード・デモクラシー」(食の民主主義)の実現するための場として、DVD上映会を開催いたします。ぜひご参加ください。
▼予告編※映画上映前に印鑰 智哉氏・由井寅子大会長のトークが行われます。
印鑰 智哉氏より、映画上映に際して、メッセージを頂きました。
種子と私たちの関係が今日ほど問われる時代はないのかもしれません。
このまま無関心でいれば、種子は多国籍企業の所有物となり、その種子と農薬と化学肥料を使わない限り、農業ができない時代になってしまうでしょう。
種子は先祖からいただき、そして子孫へと引き継いでいくべき公共の財産。種子は私たちの命を支え、文化を形作ってきた、かけがえのない存在。
伝統的な祈りの中に必ず種子は登場します。
しかし、今、私たちはその重要性を忘れてしまっていたかもしれません。
主要農作物種子法の廃止によって、この種子の公共性と多様性は危機に瀕しています。
食と社会を守るためにも、この映画をご覧になって、種子が持つその力を感じていただければ幸いです。