石井吉彦(いしい よしひこ)

有限会社ナチュラルシードネットワーク代表取締役
農事組合法人(生産法人)ナチュラルシード理事
NPO法人日本生態系農業協会理事
NPO地域創生機構理事
シードマイスター養成講座専任講師
シーズオブマイスター養成講座専任講師

1954年愛知県生まれ。自然農法の農産物を主とする自然食流通会社に25年間勤務。農産物流通の経験を得、全国の優秀な生産者や団体をまわり、種子からこだわる生産者のネットワークづくりに取り組む。
1999年、有限会社「ナチュラルシードネットワーク」(種から栽培にこだわる生産者ネットワーク)を設立し、農産物の流通を始める。
2003年、生産者ネットワークを目的とした農事組合法人「ナチュラルシード」を設立。
2008年、究極の野菜~種からこだわる無農薬・無肥料栽培を提唱する「シードマイスター養成講座」を開講。
2012年、農事組合法人ナチュラルシードが生産法人となる。
著書に「元気な種で育てる究極野菜の誕生」(ナチュラルシードネットワーク)「まず種から始めよう」(ココロ出版)がある。

「まず種から始めよ」

私は常日頃から、「食べ物とは単にお腹を膨らませるためだけのものではなく、誰もが安心して食べられ、身体を健康にするためのものだ」と言っています。

現代社会では食品添加物の発明により、日本全国どこに行っても同じものが食べられるようになりました。食品業界は原価削減と効率重視、あるいは高付加価値をつける販売戦略上の技術として化学物質添加の道を選択し、近年の不況のあおりを受けてその傾向はますます強まっています。

添加物もさらなる高度な技術が求められています。その結果、本来無添加であったはずの食品は大量の化学物質が混入した食品へと姿を変え、結果としてアレルギーや慢性疾患など、食が身体を壊す原因となっている例も少なくありません。

「自分は気をつけて添加物などをできるだけ摂取しないようにしている」といっても、コンビニやファミリーレストランなどの普及によって、食べる人自身が意識するしないにかかわらず、知らないうちにたくさんの化学物質の入った食品を食べさせられてしまいます。食品添加物の摂取は、今の社会において避けて通れない食の一部となっているのです。

このように、現在の食においてかなりの比重を占める加工食品には化学合成添加物という大きな問題がありますが、一方のフレッシュさが命の新鮮食品、中でも人間の健康保持に必要不可欠な野菜にも、「種」という根本的な問題があります。

現在の農作物の種は、昔ながらの自家採種・在来種の種子とは違って、GM種子(遺伝子組み換え種子)やF1種子(主に雄性不稔)、また放射線照射種子、不透明な品種改良など、化学的なミクロの技術によって人間の都合のよい種に変えられてしまっています。

それらの種は決まった時期に発芽して、決まった期間で出荷でき、しかも大きさも味も機能性も均一になるよう仕組まれています。遺伝子組み換えによって病害虫抵抗性を持つ種などは、まるで畑に送り込まれた戦闘員のような武装集団です。ある意味、これは野菜というよりも、野菜の形をしたアンドロイドだと私には思えます。

科学技術の進歩とともに、毎年毎年新しく世に送り出される「品種改良」された種。その種から生まれ、農薬と化学肥料をたっぷり与えられて育つ野菜たちは、本当に安全・安心と言えるのでしょうか?

土中に隠れ、芽を出せばやがて消えてなくなる種のことは、みんさんもあまり気にかけていらっしゃらないかもしれません。専門の農家でさえ、種に関心をもつ人は多くないのが現状です。今の時代は驚くほど、農家と種は完全に切り離されてしまっています。

私はそんな状況の中で、不自然な品種改良の種ではなく、昔から受け継がれてきた自家採種・在来種の種と無肥料栽培の農法を普及させ、もっとも安全・安心な野菜を一人でも多くの消費者のみなさんにお届けしたいと思っています。アレルギーや化学物質過敏症で食に制限を受けている人も含め、小さな子どもからお年寄りまで、誰もが安心して自由に食べられる野菜を流通させることこそ、職人気質の古い考え方かもしれませんが、食に携わる者の使命だと考えているのです。

しかしながら、野菜の生産・流通は食べてくださる消費者あっての話です。消費者のみなさんは、何も知らずに受動的に食べさせてられるだけの立場ではなく、これからは食の安全性について積極的に知り、考え、行動する消費者になっていただきたいと思います。川下の消費者が変わらないことには、日本の農業はなかなか変わることができません。

今や日本の食をめぐる状況は、自分自身で知識を獲得し、自分や家族を守る努力をしなければ安全性や健康は保てないのが実情です。また今後ますます増えると予測される化学物質のよる病気を、社会全体の問題としてどうとらえ、どう取り組んでいくのか。過敏な子どもたちを犠牲にしたままでは、日本の将来も暗いでしょう。

ご承知のように、情報化社会の中でも、まだまだ知らされていない事実はたくさんあります。私は野菜の流通現場に長年いる人間として、みなさんより幾分多くの事実を知り、さまざまなことを見聞してきました。その私が知っていることを少しでも多くの方に伝えたいと思います。

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